CFTR遺伝子解析

CFTR遺伝子解析

 嚢胞性線維症の原因遺伝子であるCFTRは、27のエクソンをもつ全長約250 kbの遺伝子です。多くの変異と多型があり、現在、1,800種類以上が Cystic Fibrosis Mutation Database http://www.genet.sickkids.on.ca/app)に登録されています。変異のタイプと頻度は、人種によって大きく異なります。

 嚢胞性線維症の発生が多い白人では、F508del(ΔF508)変異が約70%を占めています。このF508delを含む23種類の変異を検出できる スクリーニングキットを用いると、白人の患者さんにおける変異の検出率は85〜88%です。

 一方、日本人を含むアジア人種の嚢胞性線維症患者では、F508delを始めとする白人タイプの遺伝子変 異が検出されることはほとんどありません。その代わりに、稀な変異、もしくは、これまでに報告の無い変 異が大半を占めます。そのため、CFTRゲノムの全エクソンとその上下流のイントロン部を直接シーケンスする必要があります。 また、ゲノムリアレンジメントを検出できるMultiplex ligation-dependent probe amplification(MLPA)解析を行う必要があります。 エクソン16〜17bのゲノム欠損(c.2908+1085_3367+260del7201)が日本人の患者で報告されています。(Nakakuki et al., J Hum Genet 2012リンク) SALSA MLPA P091 CFTRキット(MRC-Holland, Amsterdam)が有用です (リンク)

 ところが、以上のような詳細な解析を行っても、わが国の患者さんで嚢胞性線維症の原因遺伝子変異が検出されるのは全アレルの約70%にとどまります。 残りの約30%のアレルについては、プロモーター部や発現調節エレメントに存在する変異によりCFTR mRNAの発現が低下していることなどが予想されます。 しかし、CFTR mRNAの定量は、研究段階です。

 また、遺伝子変異が検出されても、CFTR機能が低下することが分かっていない遺伝子変異の場合は、嚢胞性線維症の原因遺伝子変異とは 限りませんので注意が必要です。嚢胞性線維症の診断には、汗中Cl-濃度の高値(CFTR機能の低下)を確かめることが必要であって、CFTR遺伝子解析は補助的役割 (汗試験ができない場合、汗中Cl-濃度が境界値の場合、など)を担います。

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